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引き続き性別反転ネタです↓ 女の子な墺と男の子な洪が出てきますので、苦手な方はご注意を。 若干ガリプロ風味? フランスは、せっかくだからいろいろ見聞しようと言って、嫌がるプロイセンを無理矢理外に連れ出す。 公園のベンチで一休みするふたり。プロイセンはすっかり不貞腐れている。 ふいにフランスがプロイセンの注意を引く。 「おい、あっちあっち」 「あぁ? なんだよ」 「おもしろいもん見っけたの。ほら、あのカップル見てみろよ」 「……うわ! すげえ美女つれてるな、あの男!」 三十メートルほど先に、男女の二人連れの姿。ものすごくお嬢様ルックな女性と、それをエスコートする男性。公園には激しく場違いなカップル。 「は~……あんなおじょーさまがこんなとこ歩いてるなんて、世の中どうなってんだ?」 「おいおい、ンなこと言ってていいのかよ」 「はあ?」 「あれ、おまえの知り合いだと思うぜ?」 「いや、あんなやつら知らねえけど」 「忘れてんのか? いまは性別が逆になってんだぜ」 「逆……ってことは、あの女、元は男か! で、一緒に歩いてる男のほうは元は女……って、まさか」 「そのまさかじゃね? 口元のほくろとかアホ毛とか……」 「!! オーストリア……!」 しずしずと歩くオーストリアを思わずガン見するプロイセン。 「コテコテのお嬢様だな~。さっすがオーストリア。いやあ、男だとあの貴族オーラはむかつく以外の何ものでもねえけど、女だとすさまじい気品だな」 「けっ、男だろーが女だろーが嫌みったらしいことこの上ねえ」 「おー、さすがプロイセン。オーストリアへの想いは性別を超えてるってわけか」 「語弊のある表現すんな!」 「いやあ? あながち間違いじゃない気もするけど?」 「にしても、あの違和感のなさはなんだ。へっ、やっぱ元からスカートがお似合いの野郎ってわけか」 「いまは俺らもスカートだけどな?」 「あれがオーストリアってことは、一緒にいる男のほうは……まさかハンガリー?」 「だろうな。バラトン湖ついてるし」 「うわー……まじかよ、ハンガリーが男……」 プロイセンは露骨にへこむ。 「けっこうかわいいじゃん。少年っぽくて」 「なまじ面影が残ってるのが嫌だ……いっそ全然違う容姿ならよかったのに……」 「残念だったなあ、おまえの大好きなおっぱいが消えちゃって」 「ばっ……べ、別に俺はおっぱいだけが好きなわけじゃ……」 抗弁しかけたところで、ふいに影が落ちる。 「こら。女性が大股を広げて座るものではありませんよ、はしたない」 「オーストリア! ハンガリー!」 「ようご両人、相変わらず仲がいいねえ、憎たらしいくらいに」 オーストリアとハンガリーが並んで立っている。 「非常に申し上げにくいのですが……下着が丸見えでしたよ」 「正直目のやり場に困るから少しは気をつけなさい。あ、別に私は注目してないですからね、オーストリアさん。見えちゃっただけで」 「わかってますよ。はしたないプロイセンが悪いんです」 「!!」 指摘されたプロイセンは慌てて脚を閉じる。 「一応あなたにも少しは恥じらいがあったのですね……ちょっと安心しました」 「やっぱいまだにバックプリントなんか穿いてるから、色気が出ねえんじゃね?」 フランスが口を挟む。 「てめ、まだそのネタ引っ張るか!?」 「あなた……いまだにバックプリントが好きなんですか。いえ、ひとの趣味をとやかく言うつもりはありませんが……」 オーストリアは呆れている。 「もしかしていまだにあのクマさんを愛用してるんですか?」 「なんで当たり前のように聞いてくるんだ!? ってか、あのクマってどのクマだよ!? 女の俺はそんなにバックプリントマニアなのか!? いや、それ以前になんでてめえが俺の下着事情知ってんだよ!?」 「落ち着けプーちゃん。そういう情報は得てして筒抜けになるもんだ。なあオーストリア? ちなみに今日はウサちゃんだぜ、こいつ」 「てめえ……!」 「お子様趣味……」 ハンガリーがぼそりとコメントする。 「スパッツ穿かせてこりゃよかったかもな。それかいっそ見せ専の下着にするとか。それなら脚おっぴろげても問題ない」 フランスの提案に気色ばむプロイセン。 「何言ってんだてめえ!?」 「フランス、あなたもたいがいお下品です。下着は公衆の面前で見せるものではありませんよ」 「なんだその含みのある言い方!?」 「意外に大胆じゃん、オーストリア」 フランスがニヤニヤするが、オーストリアはすまし顔。プロイセンは『女の会話』について行けない。 「私がこういうこと言うとセクハラになっちゃうからあんまり言えないんだけど、プロイセンもさ、もうちょっと女の子の自覚を持ったほうがいいんじゃない?」 「誰が女だ――ふがっ」 プロイセンはフランスに口を塞がれる。 「いま俺ら女なんだから、そーいう主張をすると怪しまれるぞ」 ひそひそ声で注意するフランス。 ハンガリーはプロイセンの全身をしげしげと見ている。 「今日は珍しくスカートみたいだけど……フランスに借りたの?」 「うん、そうそう。せっかくだから穿かせてやったの」 「なに!? これ、おまえのなのか!? ってか、穿かせたってどういうことだよ!? おまえ、俺が酔い潰れてる間に何をした!?」 どうやらプロイセンの現在の服装はフランスの趣味らしい。 「まあ、かわいいとは思うけど……」 「お。よかったな、プロイセン、かわいいってさ。ハンガリーちゃ……くんに褒められて嬉しいだろー」 「嬉しくねえ!」 「や、かわいいのは服のことだけど。う~ん、外見的にはそう不似合いじゃないんだけど、いかんせん中身がこれだと……せっかく女の子らしい格好をしても台無しというか。まあ、まずは形から入るのもひとつの手だとは思うけど」 ハンガリーの評に、プロイセンが言い返す。 「似合わなくてけっこう。誰が女らしい服装なんぞ……。ってかおまえ、男のくせに髪飾りなんてつけやがって。なに考えてんだ」 「髪飾りくらいいいでしょ。男の子だってかわいいものが好きなんですー」 「けっ、なぁにがかわいい、だ。似合ってもねえくせに」 元のハンガリーの姿が恋しくてつい憎まれ口を叩くプロイセン。ハンガリーはさすがにちょっと腹を立てる。 「かわいくない態度」 「おう、かわいくなくて上等。むしろ嬉しくくらいだ。かわいいなんて価値、男には必要ないからな。ほら、んなお花の髪留めなんざ取っちまえよ。そのほうが男前だぜ?」 嫌味を言いつつ、プロイセンはハンガリーの髪飾りに手を伸ばす。 ハンガリーはむっとしながらプロイセンの手首を掴むと、思い切り真上に引っ張る。 「うぉ!?」 プロイセンは反射的に手を引っ込めようとするが、ハンガリーの握力のほうが強い。そのままじたばたもがくものの、一向に相手の手を外せない。ハンガリーは内心むかむかしているが、顔はにこやか。 「もー、プロイセンってば、いくらあんたが馬鹿力とはいえ一応仮にもなんとかかろうじて女の子なんだから、男の私に力でかなうなんて思わないでよ?」 ハンガリーはプロイセンの腕をますますつり上げる。現在ハンガリーのほうが背が高いので、プロイセンは必然的に半宙吊り状態に。 「痛ででででで! ちょ、やめろ……っ、か、肩が、肩が抜ける……!」 手首と肩の痛みに悲鳴を上げるプロイセン。オーストリアが助け舟を出す。 「ハンガリー、そのあたりでおやめなさい。どう考えても非があるのはプロイセンのほうですが、何も知らない人が見たらあなたが悪者になってしまいます」 「そうですね」 ハンガリーはあっさりとプロイセンの手を放す。プロイセンはバランスを崩して地面に座り込む。オーストリアが屈みこんで安否を尋ねる。 「大丈夫ですか?」 「……てめえ、恩を売ったつもりか」 プロイセンは肩を押さえながらオーストリアをにらむ。 「ハンガリーのためです。あなたのせいで彼(※ハンガリーのこと)の評判を悪くするのは忍びないですからね。しかし、あなたも懲りないひとですね。もう少しお上品に振舞えないものですか? あなたの場合、女性らしさ云々という以前の問題ですよ、その極端な品のなさと田舎くささは。もうちょっと洗練されたほうが――」 「さらっと陰湿に罵ってんじゃねぇぇぇぇ!」 立ち上がりながら叫ぶプロイセン。 「だーかーらぁ! オーストリアさんにつっかかるのはやめなさいって」 ハンガリーは腰に手を当てて立っている。 「こいつの陰険な口の悪さはスルーかよ」 「オーストリアさんは事実を言っているだけでしょ」 「悪かったな、下品でイモくさくて!」 「そんな単語使ってないでしょ。もー、相変わらず凶暴なんだから。なんでそうすぐひとに突っかかるかなあ、あんたは。そんなんだと――」 「うわ!?」 ハンガリーがプロイセンを軽く突き飛ばす。 プロイセンはベンチに座り込むことになる。 「ちょ、おまえ、何す――」 プロイセンが顔を上げると同時に、ハンガリーがバンッと背もたれに両手をつく。プロイセンは上からハンガリーの腕に囲われるようなかっこうになる。 ハンガリー、ゆっくり顔を近づけながら低い声で言う。 「いつか痛い目見ちゃうかもよ?……こんなふうに」 プロイセンは思わず相手をのけようと腕を上げるが、ハンガリーに再び掴まれてしまう。 「んー、かわいい力」 ハンガリーはわざとプロイセンの耳元でささやく。 「くっ……」 プロイセンはハンガリーにびびっている。抵抗を試みるも、パワーで負けているので振りほどけない。 力負けしているという事実と相手がハンガリーという事態についていけず、硬直するプロイセン。 「ハンガリー。脅かすのはそこまでです。けっこう本気で怯えているようですから」 オーストリアに言われ、ハンガリーはすぐにプロイセンを解放してやる。 「あれ、ほんと。固まっちゃってる」 「あまり怖がらせてはいけませんよ。それでも一応女性ですから。まあ、これくらいやらないと彼女(※プロイセンのこと)は学習しないかもしれませんが」 プロイセンは呆然としている。 「ごめんね、怖かった?」 ハンガリーがプロイセンの頭をよしよしと撫でる。 「まあ、これに懲りたらお転婆もほどほどにね?」 そう忠告すると、ハンガリーはオーストリアとともに去っていく。 その後もベンチに座り込んだまま、プロイセンはじっとしている。フランスが横に腰掛ける。 「どうしたよ、プロイセン。さっきから黙り込んじゃって。そんなにハンガリーちゃ……くんが怖かったのか?」 「ハンガリーが……」 「うん?」 「ハンガリーが、あのハンガリーが……俺にちょっと優しかった……! 考えられん……!」 ハンガリーに撫でられたところを触りながら、感動しているプロイセン。 「うわ、なにときめいちゃってんのおまえ! そりゃ、いまはおまえのほうが女なんだから、さすがのハンガリーくんだって多少は気を遣ってくれるだろ」 「お、俺だってこんなことで嬉しいとか思いたくねえよ! 正直ちょっぴり怖かったしな! でもなんていうか、ちょっと、いつもより、その、俺に対する態度がだな……」 「嬉しいんだな……喜んでるんだな……なんか必死すぎて憐れだよ……。おまえってほんと、かわいそうなやつだよな……知ってたけど」
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